36歳都内在住、既婚女の日記

夫婦で自営業の妻。飲食店。乳児の母。育児の不安に加え、なにかと不安な36歳。

柳橋

お店を構えて、もうすぐ三年になる。正直なところ開業をしようとするまでは浅草橋という駅に降りたことがなかった。

 

一部、お客様の中ではご存じの方もいらっしゃるが、今の場所の前に我々は一件申し込みを入れた物件があった。同じ総武線沿線ではあるが、浅草橋とは、またずいぶん雰囲気の異なる某駅である。

 

結果、その物件には振られたのでこちらにやってきた次第だが、今は心から思う。この場所で良かった、と。

 

実際にお住まいの方はよくお分かりの通り、駅名でもある「浅草橋」という地名がこの一帯ではもっとも飲食店等が多く、賑わっている地域である。私たちも、その一帯は勿論見た。でも、今ある場所であるこの「柳橋」という地の持つ、空気感に惹かれた。

 

実際にオープンしてから、お客様やご近所の皆さまに、柳橋の歴史を教えて頂いた。去年はお店で、当時のフィルムを皆で観る機会を設け非常に興味深かったのだが、そのときの私自身は悪阻がマックスでとても二階に上れず、観そびれてしまったのが悔やまれる。(落ち着いたらまたやりましょう!)

花街としての良い意味でのプライドが、いまだにここには通っているのが分かる。伝統芸能然り、当時から続くお店然り、料亭の名残を垣間見る多くの建物然り、江戸通りを挟んだこの柳橋という地が今はとても好きだ。

 

何より、土地の皆さまがいつもとても温かい。言ってしまえばよそ者に過ぎない我々を、可愛がってくださる。柳橋は同時に、単身者向けのマンションも多く、うちのお客様にも多いように単身赴任で住んでいらっしゃる方も多い。立地としてとにかく都心へのアクセスが良く、私の地元である西東京に比べるとやや家賃相場は高いとはいえ、日本橋や馬喰町に比べれば少し手頃なのも魅力なのだろう。店舗の家賃は決して安くはないが、頑張りがいのあるお客様に恵まれている。そして隅田川沿いを歩くのは、本当に気持ちが良い。

 

去年、娘が生まれて改めて思う。この地で娘を育てたい。当たり前のように、ご近所さんの声かけがある。どんな最新のセキュリティもかなわない安心がある。(もちろん油断はできませんが)この地から多くの出会いに学びつつ、すくすく大きくなっていってほしい。

 

なかなか人との交わりを持てない今の状況で、産前に思い描いていたことが出来ずにいる。経営としても、このような形で苦しむことになるとは予想していなかった。でも、このような事を、絶対に乗り越えてここで根を張りたいと強く思えるのは、ここ、柳橋だからだ。私たちは骨をうずめる気でここに開業した。これからも、柳橋で時を重ねていくことを楽しみたいと思う。

 

終息した暁には、みんな集まり乾杯がしたい。シャンパンを開けよう、なんでも開けよう。マスクなしで皆さまとおしゃべりしたり、同じ皿から食べられる、平穏な日常を心から待ち望む。娘を連れて行きたいところもたくさんある。実現するためにも、今はきっちり自粛し耐えよう。屋形船にも乗りたいな。

 

ああ、自宅も柳橋に引っ越したい…!