37歳都内在住、既婚女の日記

夫婦で自営業の妻。飲食店。1歳と0歳の姉妹の母。少々病み気味、西東京出身、東東京在住。プロテスタント。

はっけよい

4月に第二子を出産し、幸いなことに2人の娘の母になった。妊娠期から感じていることだが、一人目である長女のときと比べ、まるで時間軸が3倍速の設定にでもなっているかのようなスピード感にて今に至っている。おかげさまで順調に新生児期も過ぎ、生後一か月となった次女は、長女と共にすくすくと大きくなっている。

 

その日は深夜0時頃、自宅でウトウトしていたら破水し、登録していたマタニティタクシーで夫と長女と病院へ。家族であっても入口までしか立ち入れないためその場でしばしの別れとなり入院。1時間もすると陣痛を感じるように(この時点では生理痛レベル)。

 

陣痛室で1人、夫や母へ連絡したりしながら「あー痛いなあ……」と思っているうちに子宮口は開いていっていたようで、私自身が「いきみたいなあ」と感じた頃にはもう分娩台へ上れる状態であった。

 

そのときの助産師さんの一人というのがちょっとこう、何というかすごかったので記しておきたい。一言で現すとドスコイって感じだ。まずパッと見で男性か女性か分からなかった。炎鵬のようなキュッとしたドスコイ感という塩梅、これは誉め言葉で言うのだが、山男のようなワイルドさもある。かなり短いボブヘアーで女性かな?と思うが金太郎だってボブだしな…と悩んでしまうような際立ったキャラが陣痛中の私の目を釘付けにした。尚、会話などから途中で女性と判明した。

 

時間と共にいよいよ本格的にいきみたい!となった私は、そのドスコイ助産師さんへ「す、すみません、いきみたいです」と訴えた。すると「ばっちこい!」と返事をされた。なんという頼もしさであろう。こんな頼もしい助産師みたことがない。

 

いざ分娩台にて足を開いている私の横には、まだ20代前半と思われる可愛らしい若い助産師さんがバイタルチェックをしつつ、反対側のサイドには出生のタイミングが近くなりやってきた細身のイケメン男性医師、そして真ん中にはドスコイ助産師さんが中腰で構えておられるのが視界に入る。男性医師は非常に物腰の柔らかい先生で、優しく声かけをしてくださる。

「うん上手上手、上手にいきんでますよ、あともう少しですよ」等々、時折その手をものすごい力でつねり上げてしまう私にも顔色ひとつ変えずに、ひたすら優しい。ただドスコイ氏が控えめにいっても医師の倍はあるタフネスボディーでいらっしゃったため、男性医師は移動するたび姿が物理的に見えなくなるのが不安であったが、かわいこちゃんとアレコレ確認する会話が聞こえてくるのでそこにいるのは確かであろう。

 

「よしきた!さあ~おいで!」

ドスコイ氏の力強いサポートにより次女は私の中からドスコイ氏の手の中へと受け止められ、無事にこの世へ生を受けた。ああ、ごっつあんです……。

 

時計を見ると朝5時であった。0時に家を出たんだよな…移動時間もあったし、お腹痛くなるまでしばらくかかったし…

のちに母子手帳の記録を確認すると、分娩時間は3時間と記されていた。

 

後産が済み、会陰の縫合をイケメンにやって頂いた。妊娠中会陰近くにおできができてしまった私はこの病院の皮膚科にも診ていただいたりしたので「先生、その付近のデキモノどうなっていますか」と聞くと、「うん、確認できないくらい今は傷がグチャグチャになっていますよ~」と優しくグロイことを言われた。

 

面会ができないことからせめてもの対応として、助産師さんが生まれたての娘と写真を撮ってくれることになっていた。かわいこちゃんにスマホを渡し、たくさん撮ってもらった。ドスコイ氏のことも撮りたかったがさすがに言えまい。

 

そのまま2時間、分娩台の上でぼんやりしていた。飲みやすくするためにペットボトル飲料にストローを装着したはずがストローの長さを間違えて分娩中に飲めないという失態であったので、もうふつうにキャップを取ってごくごく飲んだ。長女のときと同じく、私のバイタルは安定を見せ、特に貧血を起こすこともなく、また長女のときは眼鏡をぶん投げて歪ませたが今回は眼鏡も無事であった。

 

すぐにお腹がすいてきた。はて、深夜に入院となったが今朝の食事はどうなるのだろうか…と私は朝食のことが気になり、ちょうど来たドスコイ氏に確認すると「病院自体は7時過ぎに配膳だけどもう食べられそうなの?!イイネ!手配しとくわどすこい!」と、語尾は嘘だが手配をして頂き、私は産後2時間でがっつり食事をしていた。元気に出産ができたのは本当に感謝なことである。

 

さすが国技館のある街、墨田区。特にオチはないが、今回は世の状況に加え、諸事情により妊娠30週での転院というバタバタであったため心配が尽きない妊娠期間であったものの、結果的に本当に素晴らしい出産となったことを覚えておきたく、書き残す。

 

ただし後陣痛や体の軋みは長女のときよりかなりきつかった。体力という体力が枯渇するような感じだ。退院後は悪寒戦慄というのも初めて体験した。今も体力はまだ30%くらいしか戻っていない感覚ではあるが、100%のときというのもそもそもめったにないので、これまで以上にボチボチ暮らしていこうと思う。