37歳都内在住、既婚女の日記

夫婦で自営業の妻。飲食店。1歳と0歳の姉妹の母。少々病み気味、西東京出身、東東京在住。プロテスタント。

正しさが鬱陶しい

確認してみたところ、最後にブログを更新してから10か月近く経過していた。我ながら見事な放置ぶりだ。

 

この期間どうしていたかといえば、めちゃめちゃ忙しかった。夏に第二子の妊娠が判明し、その前年に娘を身ごもった際に体験したひととおりの妊婦期間というものをアゲイン。

グロッキーになっては肥え、抑うつな自分に滅入り、マタニティならではの通常の10分の1以下の体調で目の前の初めての育児に向き合うことで精いっぱいであった。こんなに精いっぱいだなあ、と毎日に全力が搾りとられるような日々というのは初めてのように思う。

 

この年齢での続けての妊娠なので、心身に余裕がないのは言うまでもない。

ただ、なんとも面白いことに、余裕がなくなったからこそ自分の根っこがむき出しになってきたような感覚が、この期間で如実に感じられるようになった。

私の根っこなんぞ、端的に言って気が短い。そして嫌いなものは嫌いであり、いやなものに気を遣うことを何より下らないと思っている。早い話が「自分にとってムカつくことをやるのはもうやめた」ということだ。

 

その代表的なひとつとして、店のSNSの更新をやめた。

 

 

正確に言うとSNS上で「当店はこのようなことを考えて自粛をしますとか営業しますとかそれらについての意見をくどくどと並べたてて時にコメント欄で議論をしつつ色々な意見があるよね正解はひとつではないよねなどと言い合いながらタイミングによっては政策へ話題が飛び協力金の範囲がどうのこうのすべての人へ補償を子供たちに安全を学校や病院の対策をしっかりとしてほしい医療従事者に感謝をマスクをするとかしないとか消毒はきちんと次亜塩素酸水は噴霧しちゃダメ持病のある人へ最先端のケアを渡航歴について明らかにせよ免疫を上げて最終的には1日も早くこの新型ウイルスが収束してみなさんと乾杯できますように」と書く繰り返しをやめた。

 

そういう「新しいスタイルにおける飲食店としての姿勢を、時短や自粛でお客様と会えない今だからこそSNSを活用し毎日明るく声を上げていこう!」という正論について、私はムダどころか見るのも害悪だと思っただけだ。酒も飲んでないのに二日酔いみたいな気分になる。その理由は明快で、投稿の内容に実態がないからだ。

 

入荷情報とかメニューの紹介のような、これまで当たり前にあった実店舗で行われている現実の断片を切り取るのではなく、各々がこの度の新様式における今後の姿勢について、まるで発表会のように僕は私はこう思います!と考えを発表し、世間体だか政権だか知らないがそれぞれが見立てる先生の顔色を窺いながら、最後は書記が前向きな結論をまとめる学級会の延長みたいな繰り返しに胸焼けする。百歩譲ってそれを超本気で言っているというのなら致し方ない。見ていて不愉快には変わりないが、原因が「バカ」なのだからどうしようもないではないか。

だが実際は、アンタ本気でそれ言ってます?と突っ込みたいものが大半だ。上っ面のキラキラした希望的憶測にせいぜい池上彰の番組から引っ張ってきたような安い情報を付け加えて言い回しのみ微妙に変えて風刺したかのような悦を醸し出しつつ、ここぞとばかりに若いアルバイトスタッフのマスク笑顔写真をアップしちゃうような不愉快さはヘパリーゼも効かない気持ち悪さ。そこに群がるコメントも「おまえ誰だよ」みたいな奴が応援しています!と重ねまくるから、迎え酒みたいな事態になってる。

 

とはいえ遠方のお客様などを想うと、シンプルにSNSは生存確認的面もあることを踏まえ、「はい!私はコロナ禍での飲食店のインチキキラキラ投稿って反吐が出ます!」と投稿すればよかったのかもしれないが、投稿することによって多かれ少なかれ生じる「反応」を、この渦中にて健全に向き合えるとは思えなかったので控え続けた。だって、飲食店の人間に限らず誰だって今まともじゃないでしょ。普段なら異なる意見を交換することに意義を感じる方だけど、今はそれを、ましてやネット上でやることは、うまく言えないけど刹那的に感じるのよ。やりあうほどに軋むような。加えて先述の通り、マタニティブルーと産後鬱が影響している今の私でものを申すのは、毒みたいな言葉しか沸いてこない。ただでさえ皆して健康や経済面で苦しい思いをしたりしてるのに、わざわざ関係まで分断しかねないことをする必要はないと思った。まあ、ここまで敵作るようなこと言っておいて今更どうもこうもないんだけど。

 

SNSと一口にいっても今はいろいろ種類もあるし、アプローチの仕方はオンかオフか、またあえてその線を濁した立ち位置を目的とするか、またアプローチの内容に至っては仕事とどれだけ噛ませるのか等々、人それぞれ匙加減なりセンスなりがあることと思う。今回私がやめたのは「店としての実態のない部分を投稿する」事なので、具体的なお知らせとかは今後ボツボツやると思います。そこに注力はしないけど。

 

やっと出てきたかと思えば感じ悪いこと書いてごめんなさいけど、我々にとって大切な人や事柄というのは、会ったこともない「飲食店を応援しよう!」みたいな団体でもなければそういう団結をすることではない。どんな店も皆必死に考えて営業の有無を決めてるんだからそれで良いだろ。ズルで休むわけでもバカで営業するわけでもない。もっともらしい意見をしてくる人は必ずいるけど、はたして耳を傾けるべきはプレイヤーでもなく責任を取ってくれるわけでもない誰かの声なのか、それとも自分の本音なのか。

 

お客様と築き上げた店です。うちのお客様でインチキキラキラ発言喜ぶような人いませんから。

 

長くなりました。愛を込めて。